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コラム

2019.02.05

展示会で思うこと

私は環境ビジネスを主な守備範囲として、海外展開のためのコンサルティングを提供しているのですが、営業開拓のために展示会を使うことが少なくありません。自社出展をする場合もあれば、展示会に出展している会社の中で海外市場に向いた技術やサービスはないか、いわゆる「ネタ探し」をしに行くこともあります。

展示会にもさまざまな種類があって、総合的なものから専門的なもの、規模の大小を含めて毎回異なった発見があります。展示内容も、新素材や革新的な加工法など汎用性の高い要素技術的なものから、たとえば食品の消毒プロセスのためのLED発光装置など、ユーザー層を確定させたピンポイントのアプリケーションまでさまざまです。

これまで数多くの環境展示会を見てきて、これは共通した改善点だと思うことがあります。特に要素技術の場合がそうなのですが、アプリケーションであっても、「何に効く」あるいは「何に良い」という効能の表現がコストダウンや売り上げ増など想定ユーザーの効用のみについて語られている場合が多く、本来環境ビジネスにとっては重要な視点である公的なメリットについてあまり語られていない例が多いということです。具体的にはどんな点なのでしょうか?

モノによってはメーカー側が「そこまで責任持てない」という場合もあるかもしれませんが、ユーザー目線の訴求ができていないとどうしても、いわゆるプロダクトアウト、もしくはサプライヤー側の論理のみで説明されることになり、せっかくの商品力が際立たないことになります。LED発光装置であれば単に消毒力が強いことのみではなく、従来の灯具に代替することでCO2排出削減が進み気候変動対策にもなる、という部分についての訴求がしっかりと出来ればさらに強いアピールになるのです。

このような商品力の定義については、ユーザーに対する一次的効用のみではなく、社会に対する二次的効用についても目配りをする必要が出てきています。国連が定めた「2030年のための持続可能な開発目標(SDGs)もその一つですし、ESG投資の考え方に基づいた金融スキームなども二次的効用を重視します。

展示会の多くは、朝から夕方まで会場に詰めている必要性があるためか、技術開発を担当したエンジニアや営業マンなど、比較的若い方が説明役として現場に立っていることが多いようです。このような若い方にこそ、社会が求める二次的効用について学んでいただき、自社のプレゼンに生かしてもらいたいものです。そのためには、会社が社会に対してどのような貢献を目指すのかについて明確な指針が示されるべきでしょう。社会とのかかわりについて、経営トップの意識が最も問われる部分です。

2019.01.29

規律ある社会は良い社会か

突然ですが、あなたは日本社会が規律性に富んだ社会だと思いますか?私は海外から日本に戻ってくるたびに、社会の規律性について考えさせられることが多いです。

 たとえば、朝の通勤電車を待つ駅のホームの行列は見事なまでに規律の取れた動きを示します。そうかと思うと、優先席で寝ている若者が老人に席を譲らないというシーンもまた、日常よくある場面だと思います。小学生は手を挙げて横断歩道を渡っていますが、子供を乗せたママチャリが車道の右側を逆走していたりします。

 一般家庭にゴミの分別を徹底させているのは立派だと思う反面で、海洋プラスチックごみは日本の周辺にすごく多いという情報もあります。一体それがどのようにして投棄されたのか、近頃レストランなどで進んでいる脱プラスチックの取り組みはどれくらい実効性のあるものなのか、ちょっとよくわからないと思うのは私だけではないと思います。

 環境問題について役所の言うことが良く守られている、と言う意味において日本は規律ある社会だと言い切ってしまって問題ないと私は思っていますが、実は海外はそうでなかったりします。特に途上国ではその悩みが深く、法令違反あたりまえ、違法投棄もごくふつう、そこでどうやって規律を徹底させてゆくのか?という課題は、環境ビジネスの海外進出にとって避けて通れない重要なものです。

 私が提案するソリューションの一つが「教育」です。日本も一世代前までは、分別が徹底されないなどという事例に溢れていたと思います。時間はかかりますが、反面で着実な成果が見込めるので、教育をどのように取り上げるのかについてはぜひともご検討をいただきたいと考えます。

 今一つは、前回お話しした「ソフトロー」による柔らかな規制が考えられます。ISOによる基準認証だとか資格制度などがこれに当たるわけですが、得られるメリットに十分魅力があれば、これを梃子に使った行動変容は比較的進めやすいものになると言えます。

 そのうえで、やはり何と言っても決定打は法律などによる「規制」です。それがスムースに生かせるようになるためにも、「教育」「ソフトロー」との組み合わせで実施されるのが理想的なのですが、どうすれば途上国社会に対して効果的な働きかけができるのか?どのような「規制」が望ましいのか?などのような視点から、当社では環境ビジネスの海外進出をサポートするための行政対応法をアドバイスしています。「教育」「ソフトロー」「規制」の三点セットで考えることができると、規律ある良い社会への青写真も描きやすくなりますので、ぜひ一度御検討ください。

2019.01.21

ソフトローが及ぼすビジネスへの影響とは

1月21日の日刊工業新聞によると、このほど日本規格協会がスイス・ジュネーブに拠点を構えてISOなど国際規格に関する情報収集や各国の関係機関との連携協力を進めることになったのだそうです。

グローバル化の進展に伴って、国際規格がビジネスに及ぼす影響力も強まっています。規格認証を受けることによって、市場アクセスの機会が高まるという仕組みは今後とも広範囲に応用されて行くことと思います。環境分野でも、「循環型経済」に関するISO規格の導入準備が本格的に始まっており、資源リサイクルなどに取り組む会社にとっては認証取得への関心が高まってくることでしょう。

昨年11月にフランスで開催された環境技術の展示会でもこの動きは注目されていたそうです。欧州の環境ビジネス大手が規格作りの段階から参画しているとの情報もあり、今後の展開が注目されるところです。そういう意味でも、日本規格協会がジュネーブに人を出すという報道はタイムリーな話だと思います。

日本国内での営業活動もさることながら、海外進出を検討されている環境ビジネスの関係者にとっては、将来的に基準認証を語らずして市場アクセスを語れない時代がやってくることと思います。ISO規格のみならず、SDGs(持続可能な開発目標)への対応、ESG投資のスキームなど、「社会善」へのコミットメントを求めるベクトルが、いわゆるソフトローとして企業経営に影響を及ぼすようになってきています。この動きは狭義の環境ビジネスのみならず、一般の製造業やサービス業にまで影響をおよぼす性質のものなのです。

御社は「社会善」について、どのようなコミットメントを掲げていますか?それは各種のソフトローに対応することを考えた中身になっていますか?機会を見て、経営者として一度コミットメントの棚卸をしておかれることをお勧めします。

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