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コラム

2020.03.24

少しだけ使いたい、というニーズ

 3月13日の日経MJに、ホンダが始めた新しいサブスク「ホンダ・マンスリー・オーナー」が好調だという記事がありました。中古車を1か月単位で借りられて、費用は毎月29800円、だそうです。一時的な単身赴任や家族の妊娠、あるいは通院など一過性のニーズを捉えて好評だとのこと。

 これまでもトヨタが始めた「キント」というサービスがありましたが、こちらは最低でも同じクルマを3年乗らなければならないという制約があり、好きな時に好きなだけ、というにはやや重たかったようで、最近流行の「残価設定ローン」との違いも小さく、これまでのところはあまり売れていないようです。

 オーナーシップをユーザーに渡さず、サービスとして提供するというのが元々の発想だとすると、確かに3年というのは長いです。究極はレンタカー、あるいはカーシェアなのでしょうが、そうすると予約がいちいち大変という別の手間が発生してきます。1か月単位で安く借りられるシステムは、言ってみればニッチなニーズだったのかもしれません。

 だとすると、同様のサービスで二輪はどうだろうか、あるいは自転車も対象になるのではないか、逆に軽トラや冷蔵車のニーズはないかなど、発想は広がります。たとえば旬の魚をその時期だけ出荷したいとか、刈り取り時期だけ輸送手段を確保したいという人もいるだろうと思うのですが、こんどはクルマの供給側が対応できるか?という問題になってきそうですね。

 限られた時だけ使いたい、というニーズに応えるサービスと言えば「メルカリ」で売買されている中古品もそうだと思います。あるいは古着、もしくは貸衣装もその部類でしょう。

最近「貸し〇〇」で凄いなと思ったのは「レンタルなんもしない人」という商売(?)で、人間の存在自体をレンタル化したというものでした。流石に商売として成立したかどうかまでは承知していないのですが、マンガやテレビ番組でも取り上げられていたので、ご存知の方も少なくないと思います。

これらもすべて、考え方としては「サーキュラーエコノミー」の範疇に入るそうです。資源循環、という考え方とどうつながるの?とよく聞かれるのですが、ごくごく単純に、使い回し=サーキュラーエコノミー、だと解釈しています。資源は捨てずに(もしくは死蔵させずに)使い回すという考え方ですね。モノは無駄にせず、という。よく見れば、ビジネスチャンスはこんなところにも眠っているのだという好例ですね。

2020.03.17

儲かるコストダウン

 今日はいつもと色彩を変えて、製造業をはじめとする装置産業にとって耳寄りなお話をしようと思います。元々はトヨタタイランドで始まった改善活動の一つだということですが、月間のエネルギーコストを1割以上削減した実績があるそうです。

 その取り組みは「エネルギーのジャストインタイム」と言って、ネーミングがトヨタらしいと思うのですが、平たく言うと「使うとき以外、電源は切る」というものです。具体的にはどんな取り組みなのでしょうか?

 近代的な工場に据え付けられた設備機器には、大きく言って3通りの給電方式があります。それは①工場が稼働している間はずっと電源が入りっぱなしのもの、②昼休みなど、ラインが停止しているときは電源が落ちていても、稼働時間の間は電源が入ったままのもの、③装置が駆動しているときのみ電源が入るもの、という3通りです。

 エネルギーのジャストインタイム活動とは、工場で稼働している設備の給電方式を3通りに分けて整理(可視化)したうえで、①の方式をできるだけ②に近づけ、②は③へと運用やシステムを見直すというものです。設備によっては電源のオンオフに時間を要する(システムの立ち上がりなど)ものや、起動電流による負荷がかかるものなど、若干以上の調整が必要なものも出てくると思われますが、もしも仮にすべての設備機器について③のような給電が実現できれば、特に規模の大きな工場ではかなりの省エネになることは間違いないと思われます。

 日系企業の生産拠点が、必ずしも日本にない場合が当たり前になってからもうだいぶ時間が経過しました。その中で、必ずしも日本発でない改善活動が日本に逆輸入されるパターンも少しずつ出てきているのではないかと思います。今日ご紹介した「エネルギーのジャストインタイム」もまた、そのような動きの一つだと言えるでしょう。それがどこで発明された手法だとしても、良いことは積極的に真似をするべきでしょうから、このコラムの読者にもぜひトライしてもらいたいものだと思います。

2020.03.10

ジャストインタイムを意識する(2)

 先週は、廃棄物ビジネスが革新的なサーキュラーエコノミーへと展開するために最も重要な要素は納期意識である、というお話をしました。再生材と言えどもユーザーからすれば素材=原材料の一つなので、製造工程を管理する上での重要性は他の素材と全く変わるところがありません。百歩譲って品質面の妥協はありえるにせよ、安い再生材だから納期が遅れても良い、なんていう理屈は全く通らないのです。

 製造業では、原材料についてはある程度の工場在庫を持つという場合が少なくないので、多少の余裕代はあるかもしれませんが、どの業界でも限度いっぱいのコストダウンが当たり前になってきている現代社会にあって、はじめから客先の在庫に頼るという営業態度では客先からの信用を得る前に取引が終わってしまいます。

 すなわち、客先からの要望がそこまで及んでいるかどうかは別にして、たとえば納期について何か守るべきルールが存在しているとなれば、それは当然のように守るべき規範であるということになります。

 前置きが長くなりました。今週は、客先ごとの納期管理(と、品質・価格管理)をどうすれば良いか、という根源的な疑問に答えを出してゆきましょう。

1. 製造業になる
よくある廃棄物ビジネスにとって、おそらくこの点が最も革新的な取り組みになるのでないかと思うのですが、自身の工場で展開しているプロセスを「廃棄物の処理」から「再生材の製造工程」へと認識や呼び方を変えてみるというのが第一の提案です。つまり、マインド的に製造業へと近づけることで、納期意識を持ちやすくしようとする試みです。
もっとも、さすがにこれだけでは大きな効果は期待しづらいのですが、漢方薬と同じように後々になってじわじわ効いてくる性格の変化です。しかも自己認識に生じた変化は後戻りしづらいという特徴があります。

2. 工程管理の考え方を取り入れる
 対策の本命は、工場で行っている業務に「工程管理」という考え方を導入するところにあります。またの名を「生産管理」ともいうのですが、予算・設備・人員・原材料(Money/Machine/Man/Material: 4Mと言います)という投入資源を活用して、生産性・品質・コスト・納期・安全・士気・環境の7つ(俗にPQCDSMEと言います)を確保する、というのが基本的な考え方です。
 長い事、再生材の業界では廃棄物の処理手数料と再生材販売の両面で儲かる、再生材の市況によってはさらに儲かると言ったギャンブル的な収益性認識が幅を利かせていましたが、最近では中国への廃棄物輸出が禁止された流れを受けて、処理手数料や再生材市況もさまざまな影響を受けています。プラスチックなどでは品質面のマイナス影響が最も大きいと言われていますが、品質問題を解決するなら、ぜひ納期に関する対策も同時に考えるべきでしょう。
 産業廃棄物に関しては、工場へ入ってくる段階まではマニフェストでの管理が義務付けられており、そのデータを活用して工場内のフローを管理するところまでは珍しくありません。ラストワンマイルの情報として、そのデータに再生材の向け先と納期に関する条件を付加してやることで、一気通貫で納期管理ができるようになります。

3. 客先と納期に関するコミュニケーションをとる
 ここから先は営業部隊が活躍する場面になりますが、客先とは常に納期に関する最新の情報を確認するようにします。営業訪問でも、SFA経由の情報でも、メールでもLINEでも構いませんが、客先の担当者に対して常に最新の情報を入れるようにします、というかおそらくはすでにこれらのバランス良いミックスが会社ごとに存在していて、それらをフル活用した対応になると思います。
 現在、再生材でそこまでやるという事例はもしかしたらあまり多くないのかもしれません。ニーズがないから、という割り切りではなく、どうしたらもっと顧客要求に応えらえるようになるだろうか?という視点で納期管理とコミュニケーションを見直してみる発想を、ぜひ客先と共有いただきたいのです。

 世の中が、サーキュラーエコノミーへの価値を認めだす時代になって、製造業各社はどのように再生材を製品に組み入れられるかについて検討を深めています。再生材供給事業者もまた、ユーザーである製造業へジャストインタイム供給ができるようになることで、その付加価値は確実に高められるのです。

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