好むと好まざるに関わらず、コンサルタントをしているとクライアント企業トップによる重要な意思決定の場面に立ち会うことがあります。その場面に至る経緯を分かっていればこそ、経営者として感じるプレッシャーを私も肌に感じるのですが、なかなか言葉にするのが難しい辛さがあります。
特に中小企業の場合、意思決定者が事案の全てを承知している分だけスピード感を持った意思決定ができるのは良いのですが、リスクも責任もすべてが経営者の肩にかかるので、場合によっては大変なプレッシャーと戦わなくてはいけないことがあったりします。
そう言ってばかりいると、進めなくてはいけない仕事が進みませんから、嫌でも何でも意思決定はしなくてはいけないわけです。
その意味で、大企業のサラリーマン社会というのは上手くできていて、伺いを上げる方と決裁する側とでプレッシャーを分け合えるようになっているんですね。
現場にいて、本社に伺いを上げる側は「これは本当に大事な案件で、俺はぜひこうなれば良いと思っているんだけど、上司の決裁事項だから伺いを上げざるを得ない。」と割り切ることができ、本社にいて伺いを回された方は「これは現場が大事だといっている案件だ。現場のことを考えるとぜひ聞いてやりたいが、全体観を持って見直すと違う選択肢があるかもしれない」などの理由で一旦話を落ち着かせることができるようになっているわけです。
というわけで、大企業のシステムでは意思決定までにかかる時間が多少長くなる傾向があるわけですが、その分だけリスクに対する耐性が担保されている・・というのが伝統的な説明だったと思います。
実際はどうかというと、特に海外の企業とやり取りする場合、スピード感覚は重要な要素になってきています。取締役会などにかかる場合はいざ知らず、日常の意思決定が事案の帰趨を左右する場合も珍しくありません。
プレッシャーを肌身に感じながら、毎日の意思決定をひとつずつこなしてゆく。経営者というのは考えてみれば大変な仕事ですが、コンサルタントは持てる知見や経験に基づいて、そのプロセスをサポートする重要な役割を担っているわけです。
いかにしてプレッシャーを克服しながら経営者として正しい意思決定を下せるか、コンサルタントとしては、そのための仕組みづくりを提案しているわけですが、その根底にあるのは情報処理のためのネットワークづくりや人脈形成に関する経験値、そして最終的には「ものの見方」だったりします。
コンサルタントの側から一つ言えることがあるとすれば、コンサルタントの知恵を生かすことで、間違いなく商機は広がります。その分、厳しい意思決定の場面も増えることになりますが、その商機を生かすも殺すも結局は意思決定次第です。意思あるところに道は拓ける、というコトバが示す通り、経営判断こそがものごとを動かす起点になるのです。
大変な思いをされている経営者の皆さん、私はコンサルタントとして最後までお付き合いいたしますので、どうか頑張って意思決定の大役を果たしていただきたいと思います。