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コラム

2019.02.12

SDGsは環境ビジネスの福音となるか

 最近新聞などでよくSDGsというコトバを目にします。2015年に国連が定めたSustainable Development Goalsの略で、2030年に向けた「持続可能な開発目標」と訳されています。

SDGsはすべての国連加盟国に暮らす全ての人々を、誰一人取り残さず対象とするという、人類史上かつてない大風呂敷を広げた政策目標なのですが、よく見るとその多くが環境問題への取り組みを進めるためのものになっています。全部で17個ある「ゴール」のうち、ざっと数えただけでも安全な水、クリーンエネルギー、住みやすい街、リサイクル、気候変動、海の生態系、陸の生態系と7個が環境に関係しています。それがどのように環境ビジネスの福音となりえるのでしょうか?

日本国内では特に大企業が自分たちの取り組みを投資家や顧客に説明するためのツールとして人気が高いようで、「SDGs 企業」というキーワードで検索すると様々な事例が出て来ます。

他方で中小企業の間では認知度も今一つなのですが、さまざまなメディアが取り上げたり、お役所が重点施策としていることもあって、そう遠くない先に知られたコトバとして認識されるのではないかと思います。

伝統的な経済学における環境ファクターの位置付けは、基本的に儲けにつながるものではなく、社会の誰かが負担することになるよくわからないコスト、みたいな説明でした(専門用語では「外部不経済」と言います)。昭和の日本にとっては重大な社会的課題であった公害問題がまさにこの事例に当たると思います。

私は以下に述べるような理由により、SDGsが果たしつつある役割がこの「外部不経済」を解決するとともに、間接的な効果で企業価値を高める機会を提供しているという点において画期的なものだと思っています。

似たような役割を果たした事例としては、ISO9000などの規格認証制度があり、いずれも企業にとっては「対応すべき義務があるわけではないが、対応することで顧客の期待に応えている姿勢を明確にできる」という性格のものなのです。

社会規範のうち、守らなくてはならない法律や条約を「ハード・ロー」と呼びますが、基準認証制度などはそれに対する「ソフト・ロー」として位置付けられ、ハード・ローほどではないものの、それを実装した社会においてはある程度の強制力を持ちうる規範だと言えるのです。

現段階では国や分野によって、まだ十分に知られているとは言えないSDGsですが、今年9月にはニューヨークの国連本部で、2015年の制定から4年間を振り返るための首脳会議 (Heads of State meeting on the SDGs in September 2019)が予定されています。

政治レベルでの取り組みは今後も続けられてゆくことから、早晩SDGsも十分な社会的認知を受け、ソフト・ローとしての役割を果たすようになるでしょう。すでに2019年も1か月半が過ぎました。その時に備えるための準備を始めるに早すぎるということはないのです。

2019.02.05

展示会で思うこと

私は環境ビジネスを主な守備範囲として、海外展開のためのコンサルティングを提供しているのですが、営業開拓のために展示会を使うことが少なくありません。自社出展をする場合もあれば、展示会に出展している会社の中で海外市場に向いた技術やサービスはないか、いわゆる「ネタ探し」をしに行くこともあります。

展示会にもさまざまな種類があって、総合的なものから専門的なもの、規模の大小を含めて毎回異なった発見があります。展示内容も、新素材や革新的な加工法など汎用性の高い要素技術的なものから、たとえば食品の消毒プロセスのためのLED発光装置など、ユーザー層を確定させたピンポイントのアプリケーションまでさまざまです。

これまで数多くの環境展示会を見てきて、これは共通した改善点だと思うことがあります。特に要素技術の場合がそうなのですが、アプリケーションであっても、「何に効く」あるいは「何に良い」という効能の表現がコストダウンや売り上げ増など想定ユーザーの効用のみについて語られている場合が多く、本来環境ビジネスにとっては重要な視点である公的なメリットについてあまり語られていない例が多いということです。具体的にはどんな点なのでしょうか?

モノによってはメーカー側が「そこまで責任持てない」という場合もあるかもしれませんが、ユーザー目線の訴求ができていないとどうしても、いわゆるプロダクトアウト、もしくはサプライヤー側の論理のみで説明されることになり、せっかくの商品力が際立たないことになります。LED発光装置であれば単に消毒力が強いことのみではなく、従来の灯具に代替することでCO2排出削減が進み気候変動対策にもなる、という部分についての訴求がしっかりと出来ればさらに強いアピールになるのです。

このような商品力の定義については、ユーザーに対する一次的効用のみではなく、社会に対する二次的効用についても目配りをする必要が出てきています。国連が定めた「2030年のための持続可能な開発目標(SDGs)もその一つですし、ESG投資の考え方に基づいた金融スキームなども二次的効用を重視します。

展示会の多くは、朝から夕方まで会場に詰めている必要性があるためか、技術開発を担当したエンジニアや営業マンなど、比較的若い方が説明役として現場に立っていることが多いようです。このような若い方にこそ、社会が求める二次的効用について学んでいただき、自社のプレゼンに生かしてもらいたいものです。そのためには、会社が社会に対してどのような貢献を目指すのかについて明確な指針が示されるべきでしょう。社会とのかかわりについて、経営トップの意識が最も問われる部分です。

2019.01.29

規律ある社会は良い社会か

突然ですが、あなたは日本社会が規律性に富んだ社会だと思いますか?私は海外から日本に戻ってくるたびに、社会の規律性について考えさせられることが多いです。

 たとえば、朝の通勤電車を待つ駅のホームの行列は見事なまでに規律の取れた動きを示します。そうかと思うと、優先席で寝ている若者が老人に席を譲らないというシーンもまた、日常よくある場面だと思います。小学生は手を挙げて横断歩道を渡っていますが、子供を乗せたママチャリが車道の右側を逆走していたりします。

 一般家庭にゴミの分別を徹底させているのは立派だと思う反面で、海洋プラスチックごみは日本の周辺にすごく多いという情報もあります。一体それがどのようにして投棄されたのか、近頃レストランなどで進んでいる脱プラスチックの取り組みはどれくらい実効性のあるものなのか、ちょっとよくわからないと思うのは私だけではないと思います。

 環境問題について役所の言うことが良く守られている、と言う意味において日本は規律ある社会だと言い切ってしまって問題ないと私は思っていますが、実は海外はそうでなかったりします。特に途上国ではその悩みが深く、法令違反あたりまえ、違法投棄もごくふつう、そこでどうやって規律を徹底させてゆくのか?という課題は、環境ビジネスの海外進出にとって避けて通れない重要なものです。

 私が提案するソリューションの一つが「教育」です。日本も一世代前までは、分別が徹底されないなどという事例に溢れていたと思います。時間はかかりますが、反面で着実な成果が見込めるので、教育をどのように取り上げるのかについてはぜひともご検討をいただきたいと考えます。

 今一つは、前回お話しした「ソフトロー」による柔らかな規制が考えられます。ISOによる基準認証だとか資格制度などがこれに当たるわけですが、得られるメリットに十分魅力があれば、これを梃子に使った行動変容は比較的進めやすいものになると言えます。

 そのうえで、やはり何と言っても決定打は法律などによる「規制」です。それがスムースに生かせるようになるためにも、「教育」「ソフトロー」との組み合わせで実施されるのが理想的なのですが、どうすれば途上国社会に対して効果的な働きかけができるのか?どのような「規制」が望ましいのか?などのような視点から、当社では環境ビジネスの海外進出をサポートするための行政対応法をアドバイスしています。「教育」「ソフトロー」「規制」の三点セットで考えることができると、規律ある良い社会への青写真も描きやすくなりますので、ぜひ一度御検討ください。

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