去る6月25日、ジュネーブにある国連機関やNGO、民間企業などさまざまな参加者によって運営されているSDG Lab(SDG研究所)という機関が、世界の各地域でSDGsを進めるためのガイドブックのような印刷物を公表しました。SDG Lab Toolkitというタイトルの書類がそれで、今日現在まだ日本語訳はありません(このあたりも、そう遠くないうちにほぼリアルタイムで各国語版が出るようになるのだろうと思うのですが)。
日本でもまだ大きなメディアで紹介されている実績はないと思うので、タイミング的に言うとこれはホットなニュースだと思います。こういう展開も、インターネット時代ならではの話です。ここから先はカタカナにすることにしで「ツールキット」と呼ぶことにします。
このツールキットは、「エコシステム」という概念で括れる国や地域、都市あるいはもっと小さな自治体や業界団体あるいは単独の企業などにおいて、さまざまな立場の関係者が一緒になってSDGsへの取り組みを進めてゆくための手引書みたいなもの、ということができます。この中に書かれている項目に従って議論を進めて行けば、最終的にはその「エコシステム」がどんな形でSDGsに取り組むべきなのか、そのための課題は何か、どのように克服して行けばよいと考えられるのかと言った点が可視化され、関係者間で共有されるという仕組みです。
公開されているツールキットはPDF版のA4サイズの書類で61ページという分量です。その中身はというと、SDGsに対する取り組みを行ううえで、①どのように知らない人とつながれるか、②自分の意見をどのように拡声できるか、③どのように質問を出せるか、④どのように新しいことを始められるか、というテーマについてそれぞれノウハウと実務に使える書類のテンプレートが提供されています。
たとえば「拡声する」という項目では、①物語を共有する、②失敗を報告する、③打ち明け話をする、というテーマに沿って、具体的な事例を公表し合うことが勧められています。国連のような旧態依然たる官僚機構が入った割には、②の「失敗を報告する」に力点が置かれていてなかなか過去の事例とは異なる動きを示していることがよく分かります。
もしも今後、このツールキットを使って様々な人たちが様々なレベルで「自分たちのSDGs」をまとめる動きが本格化するとすれば、SDGsについて声を上げたい世界中の人たちにとって、書式としてのデファクトスタンダードになるのかもしれません。
単なるポーズじゃなく、本気でSDGsに取り組んでいること。世界の投資家が求めるホンキの取り組みにご関心のある経営者は、英語ですがぜひ一度こちらをご覧ください。また解説や取り上げ方などについては当社で懇切丁寧に対応いたしますので、ご相談いただけたらと思います。
https://www.sdglab.ch/toolkit