去る5月31日、今年3回目のセミナーを開催しました。フォローアップの申し込みをいただき、現在対応の準備中です。
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イソップの「ウサギと亀」に出てくるウサギみたい。私は環境ビジネスのコンサルタントをしていて、日本の立ち位置をよくそんな風に感じることがあります。他国より圧倒的に先行する立場を得ながら、その後の展開に対する油断があったりしていつの間にか大きな商機を逃してしまう、みたいな展開が多いからです。かつて世界最先端を誇った太陽光発電の分野でも、今日日本勢はまるで振るわないのが実態です。
いま、環境問題を議論する国際会議などでちょっとした流行コトバになっている感があるのが「サーキュラーエコノミー(Circular Economy)」です。直訳すれば循環経済ということになりますが、その意味するところは単に「廃棄物をリサイクルして原材料に使う」、というシンプルなものではなく、社会の環境負荷を低減させる様々な取り組みをも包含するもの、とされています。
広義の考え方ではライドシェアや民泊などのシェアエコノミーも含まれますし、単なるリサイクルやいわゆる”3R”と異なるのは、資源リサイクルに対応しやすいように製造業のほうも歩み寄る、という部分があることです。たとえば設計を変えて、より再生資源を使いやすくしたり、製品として廃棄される場合に分解しやすくしておく、などの対応がこれにあたります。
いささかややこしいのですが、日本には「循環型社会形成推進基本法」という法律がありまして、今から19年も前の平成12年に制定されたものなのですが、これに基づき5年ごとに「循環型社会形成推進基本計画」という計画が政府によってまとめられています。ただこの法律は若干立て付けが古く、製造業の役割を強く打ち出しているわけではありませんで、主に3Rの推進を進めようとするものです。中身的にも、たとえば焼却処分による熱回収がリサイクル(サーマルリサイクルと言います)に含まれる、といった具合です。
国際社会が議論しようとしているサーキュラーエコノミーは、基本法が目指すものと同名異質だと思うのは何も私だけではないと思います。ところが、すでに盤石な法整備が済んでいて、そのための計画が着々と推進されている現下にあって、いまさら法律を手直しする、などという話にはどうもならないらしいのです。確かに、字面を翻訳すれば日本はあたかも20年前からサーキュラーエコノミーを推進してきたようなことを言えなくもないのだろうと思いますが、シェアエコノミーの普及ぶりを見ればそこに大きな瑕疵があることも一目瞭然だろうと思うのです。
日本の法律や体制と、国際社会の求めるものとの間に隙間が存在する。この問題は技術を持つ日本企業にとっての課題であると同時に、ジャーナリストや行政官を含めたより広い範囲で共有されるべき要素を含んでいます。そういう部分の情報発信や意見交換についてもコンサルティングを通じてお手伝いさせていただいております。世界と歩調を合わせて循環型経済を推進するために、ぜひ一度当社のセミナーを受講ください。
昨今の日本社会において、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)に対する認知度が高まってきたのは心強いことです。さまざまな立場の人たちが、地球の未来を考えるうえでSDGsを共通言語として一緒に議論を進めて行けることほど、国連が果たした役割の中で将来の可能性を感じさせるものはなかったと感じています。
今、国際社会ではSDGsのみならず様々な切り口で社会善への積極的な取り組みを可視化し、評価しようという動きが強まっています。金融の世界ではEnvironment: 環境、Society: 社会、そしてGovernance: 企業統治をその評価軸としたうえで、非財務情報をも併せて投融資の判断基準とする考え方が導入されつつありまして、3つの評価軸の頭文字を取ってESG金融と呼ばれています。
すなわち、経営者は①環境に良いことをどのように導入・実践しているか?②社会に良いことをどのように導入・実践しているか?そして③自身の企業統治をどのように可視化し、持続可能な経営を実現しているか?という点で評価される、ということなのです。
この中で、言ってみればEとSは将来へのコミットメントであり目標であるのに対して、Gは現在進行形であり半ば実績であるという違いがありますが、いずれも社業が社会善への貢献をどのように果たしつつあるか、また果たしているかを評価するために使われつつあります。
欧米では株主による投資を通じた関係情報の可視化が進んでおり、「ESG投資」と呼ばれていますが、日本では企業向けの資金調達手段が金融機関による融資が中心であることもあって、独自の取り組みがなされつつあり、「ESG融資」と呼ばれています。
令和元年はその実践がスタートする年にあたるのですが、今や政府の後押しを受けた各金融機関、なかんずく地方銀行が「地域循環共生圏」に資する働きをしている地方の企業を見出し、融資を通じた支援を円滑に進めようとする動きが出始めています。
具体的には、エネルギーの地産地消、ごみの減量と循環型経済の促進、産業廃棄物の適正処理、再生可能エネルギーの導入と活用などが挙げられますが、このような環境ど真ん中の事業でなくても、社会的弱者への支援や、経営状況をガラス張りにして可視化する取り組みなども評価される流れにあります。
その中で、特にSDGsを標榜し実践することは、国際社会が共同で目指している目標への直接的なアプローチになるということもあって社会的な訴求性の高い取り組みとして評価されるが、その反面で実態が伴っていないと「カンバンを借りているだけ」との批判を受けるケースも出てくるのではないかと思われます。
金融機関もみな横一線で取り組みを始めたところなので、むしろ企業側が具体的な取り組み事案を提供することでイニシャチブを取れるチャンスです。社会善の実現を通じて明日の地球を作ってゆくための取り組みを、あなたの企業がリードするという心意気でESG金融への対応を進めてください。今こそ、そのチャンスなのですから。