ボトルネックは人
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2020.04.21

ボトルネックは人

「ビジネスのボトルネックは?と考えると、短期的にカネと言う場面はあるかもしれないけど、構造的には常にヒトだと思うんですよ。」先日、オンラインでつながっている時に知り合いのリサイクル企業の社長がふと漏らしたコトバです。
 コンサルタントは収益構造を仕組み化するお手伝いをします。社内の仕組みづくりもあれば、クライアントにとっての市場やお客様の近くで仕事をすることもあります。いずれの場合も、クライアント自身がそれをできるように仕組み化するのがポイントで、実装段階から先の仕事はクライアント自身、すなわち社長でなければスタッフが自分で仕組みを動かしてゆくことになります。

 上手く回っている会社では、社長が戦略即ち「どの山に登るか」を決めることを仕事としているのに対し、「どう山に登るか」という戦術の部分についてはスタッフの仕事となっている場合が多いです。また、コンサルタントはそうなるように仕組みのあり方を指導するわけですが、肝心のスタッフが山登りに疑問を抱いたり、能力的にその山へついて来られなかったりする、と言う事例は残念ながら皆無ではありません。

 多くの場合、スタッフと上司がコミュニケーションを通じて解決できる可能性が高いのですが、にもかかわらず実際に解決努力へと踏み出す前に転職してしまう、というような例も決して少なくありません。やってみる前から、「課題解決に大切な時間をかけるよりはむしろ思い切って」、と考えてしまうのは人の常なのかもしれません。

 課題解決への忍耐を選ぶか、それとも転職を選ぶか、どこにその分水嶺があるのかといえばそれは「生き方」「信条」など、根源的な人生哲学に根差すところが大きいのです。会社員としてどのような「生き方」を目指すのか、新入社員は自問しながら会社に入って来ます。先輩社員もまた、そのような新入社員を教える中で、自身の「生き方」「信条」を振り返ります(新人教育で一番成長するのは先輩社員だ、とはよく言われることです)。そうすることで新入社員は人生に一度だけしか味わえない「新入社員としての自覚」を自ら作り上げてゆきます。

 私はクライアントに対し、常に「採用するなら中途ではなく新卒を採れ」と言うのですが、その理由がここにあります。すなわち、中途採用の転職組にはすでに社会人経験があるため、社会人として何らかの処世術を身につけている例がほとんどなのに対して、まっさらの新人には今から自分で自分の「生き方」「信条」を身につけてもらう必要があるということです。この部分を会社の戦略とシンクロさせることができたなら、ちょっとやそこらのピンチに出会っても、簡単に辞めようとは思わなくなります。逆に、新入社員のときにしっかりとそのプロセスを踏めていないと、心に隙間風が吹き込みやすくなり、ちょっとしたことで転職を考えてしまいやすくなります。

 ビジネスのボトルネックを解決したいなら、是非とも新卒採用と、行き届いた指導を通じた「生き方」「信条」の提供を。それを繰り返すことで、組織は見違えるほど活力あるものへと育って行くのです。

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