儲かる環境ビジネスとは
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2019.08.27

儲かる環境ビジネスとは

先日、いま業界で注目されている「ちょっと違う」ビジネスモデルを見学しに行くチャンスがあったので、今日はそこで得たインサイトを共有させていただきます。

 X県とY県の県境に近い地方中核都市にあるA社は、廃棄物処理事業者として長い社歴と地元における信用を確立した優良企業です。本来ならば確固たるその事業基盤を強みとした堅実経営を志向してもおかしくないところ、A社の社長はそうしませんでした。最優先で経営資源を注ぎ込んだのが新技術開発と新しいビジネスモデルのためのプラットフォームづくりだったのです。それはどんなものなのでしょうか?

 後から説明を聞けばすんなりと理解できる話ですが、特に新技術開発は経営的に大きなリスクを取る決断だったと思います。「捨てればゴミ、分ければ資源」とは、廃棄物処理業界では長らく言い古されたコトバです。同社が開発した技術がすごいのは、選別後の廃棄物がバージン材料の技術的仕様に近いところまで純化できることが実証された点です。まさに究極の選別技術と言っても過言ではないでしょう。しかも低コスト。

 多大な経営資源を注ぎ込み、ようやく技術を確立した、それが市場に受け入れられるだけの性能を示した、としましょう。普通の会社なら、この「技術」を売ろうとするはずです。いや、そもそも世の中には廃棄物処理事業者でなくても「こんなにすごい技術がある。是非これを買ってくれ」という営業スタンスを取る会社が無数に存在するのですが、今日はこの考え方こそがビジネスを動かなくする最大の理由だということを申し上げたいのです。

 A社が凄いのは、開発した技術の知的財産を保護したうえで、単に技術を売り込むのではなく、再生資源が未来の社会にもたらす価値そのものを提供しようとしていることです。

 環境ビジネスに関わる方なら、カーボンフットプリントという考え方をご存知の方も少なくないと思います。技術的仕様がほとんど変わらないバージン材とA社の再生資源ですが、実はカーボンフットプリントで見ると全然違う、A社の再生資源の方が圧倒的にCO2排出量が少ない、という認定された論拠があり、これが欧州を中心とした市場にものすごく高く評価されているのです(まだ日本では欧州のように性能が同じならカーボンフットプリントが低い再生材、という話にはなりにくいようです)。

 A社はそのような評価を承知したうえで、再生資源を使ってくれる候補となるメーカー、更にはその製品を使う事業者まで巻き込んで、バリューチェーン全体を包括するプラットフォームを作り上げました。この手法自体は、これまでも様々な場面で「〇〇協議会」や「〇〇協会」と言った形で使われてきたものなので、何も目新しいことはありません。ただ、そこでリーダー企業となることによってバリューチェーン全体でカーボンフットプリントの優位点を市場に対して訴求することができます。地方の一企業がリーダーになれたその理由は、品質保証につながる選別技術を開発したから、ということにつきます。

再生資源なので価格的に安く、仕様的にバージン材と遜色ないものが、カーボンフットプリントでも大きな優位性を示すとなれば、バリューチェーンにおける素材メーカーとしてのA社の立ち位置は盤石なものとなります。A社は名だたる大企業を従えたバリューチェーンのリーダーとして、まさに自社の再生品にとっての新しい市場を作り出しつつあるのです。

廃棄物処理事業者が、再生品の品質を上げ、新たな価値にフォーカスすることでプラットフォームのリーダーとなる。そして再生品の流通を盤石なものへと仕上げてゆく。ビジネスマインド的にいえば、「もはや産廃業者ではない」というくらいの変化です。でも、この取り組みこそがまさに儲かる環境ビジネスへと変わって行くためのカギなのです。A社はまず、その源泉たる技術力を「選別工程」に注ぎ込むことで未来の扉を開き、そしてプラットフォームを形成することで新しい市場の確立に成功しました。あなたはどうやってご自身の未来を開きますか?

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