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2019.04.16

副業としての環境ビジネス

いよいよあと半月ほどで令和元年がスタートします。平成の最後の方になって勢いが出てきた働き方改革の中で、副業解禁という動きも広がってきたようですね。サラリーマンにとってはかつてなかった時代が到来したという感じですが、企業経営者にとっては何も目新しい話ではなく、新規事業や多角化という言い方で、副業を展開することは昔から行われてきたのです。

この、新規事業あるいは多角化を通じて環境ビジネスに進出される会社は実に数多く、事例も多岐に渡っています。製造業が自社製品や経年劣化した運搬具などを処分する廃棄物処理業を始めるような事例から、不動産業が自社の強みである土地を生かしたメガソーラーの建設・運営に進出するような事例まで、そのパターンも様々です。

このような新規事業への進出に関する最終的な経営判断は、主に損益の予想に基づいて決められることが多いのではないかと思いますが、各社がそれぞれ「企業文化」を持っているように、異なる業界もそれぞれの色「業界特性」を持っている点にも十分注意を払っておくべきなのです。特に環境ビジネスについてはそれが重要なポイントとなります。

具体的には、たとえば製造業が製品の納期・品質・価格に強く縛られるという特性を持っているのに対して、それが廃棄物処理業だと厳格に同じ意味での「納期」は存在せず、廃棄物を引き取ってしまえばその後いつ処理するかについて顧客からの厳しい要求が出てきにくい、という大きな違いがあるのです。

この納期に縛られない、あるいは客が納期を気にしないという点は、処理施設の操業コストを合理化するうえで大きなアドバンテージになり得ます。特急注文が入ったり、段取り替えが頻繁に起きることから、製造業の工場にとっては至難の業である安定操業が、廃棄物処理業では比較的楽に実現できるからです。

反面で、品質面での社会的責任については一般的に廃棄物処理業のほうが製造業のそれよりも格段に厳しい責任を負っています。多くの場合は行政の審査による許認可と、違反に対する厳しい罰則に縛られており、義務付けられているといってもリコールによる善後策や、厳しいと言ってもニュース報道などの社会的制裁で済まされることの多い製造業のそれと比べると確実に一段以上厳しい責任が追及されるのです。

日本では、多くの新規事業は母体企業出身の経営者に委ねられる場合が多く、それが環境ビジネスであっても例外は多くありません。ですが環境ビジネスがそれだけ社会性の高い事業であるという点について、必ずしも経営者が良く理解しているかと言われると、残念ながらそうとばかりは言えないのが現状です。

特に、いわゆる「事業子会社」としてたとえば廃棄物処理のみを行っているような事業体の場合、経営判断に関わるような決裁事項が親会社に上がるというような例も珍しくないのですが、そうなると決裁者はまさに製造業そのものの経営者ですので、社会的責任に関する認識が廃棄物業界のそれとズレてくる、というようなことも起きがちになります。

市場を見ると、環境ビジネス専業で成り立っているという事例はむしろ少数派で、製造業など別分野の企業が多角化する中で環境ビジネスにも進出したという事例のほうが多いのですが、このような業界特性の違いによる思わぬ経営トラブルを招くことのないよう、経営者は万全の注意を払わなくてはなりません。

業界特性の違いを可視化して、会社組織として理解しておくこと、そして経営判断の場面では必ずその「違い」を確認すること。この二つを確実に実行することで、新規事業進出のリスクを低減し、収益を確実なものにできる可能性はぐっと高まるのです。

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