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2020.01.14

売上アップ・業容拡大と環境戦略

 2020年初頭の段階では、環境戦略を考えることで売上を上げるチャンスが訪れると言われても、今一つピンとこないという人の方がまだ多い状況です。今年はぜひこの状況が変わるように努力を続けて行きたいと考えています。そもそもなぜ、環境戦略が売上向上や業容拡大に寄与すると言えるのか?について、今日は実際の事例を参照しながら説明してみましょう。

1. 営業単価を2割上げる環境戦略
 しっかりした環境戦略を構築するだけで営業単価を2割は上げられる、と言うとどこの世界の話かと思われるかもしれませんが、海外のマーケットではありえない話ではありません。日本のように規制でがんじがらめになっている国とは違い、環境面での付加価値を訴求できる市場があるということに気づいたA社は、市場調査段階で想定した単価の3割増しで現地パートナーとの価格交渉を終えることができました。
 このパートナーは、A社が繰り返し訴求した技術の確かさや国際条約への適合実績を高く評価し、A社と取引することで自身のステータスも上がる、との経営判断をして単価アップに応じてくれたのでした。
 環境への意識が高まっている市場や、意識の高いユーザーをどのように拾ってゆけるかが勝負のポイントになるのですが、そのための地道な努力を怠らないことで道は確実に開けるのです。

2. 社員が張り切る仕組みと環境戦略
 SDGsやサーキュラーエコノミーなど昨今の流行もあって、トップがしっかりとした環境戦略を考えている会社は社会が求める課題への対応を取りやすい状況に置かれます。社会課題への対応を考える仕事は、単に企業収益や市場シェアの拡大を目指した仕事と違い、社員にとって「やるだけで達成感や充実感を得られる仕事」になりやすいという特質があります。仕事をしながら同時に達成感を得られる機会が増えるわけですから、自発的に取り組む社員が増えてゆくという副次効果も伴い、自然と社内がエネルギーに満ちてくるのです。
 社会課題への対応と、ビジネスの現状をどうやって埋めてゆくのか?そのために必要な予算や技術はどうやって確保するのか?社内での議論を通じてひとつひとつ解決策を積み重ねてゆくことで、社員の間に本気度が高まって行きます。
 やがて社員が「ウチの会社は本当に良い会社だ」と言い出す頃には、間違いなく営業が張り切って成果を上げる仕組みが定着しているはずです。実際にこの戦略を採ったB社では、ごく最近になって、新しい投資に向けて既存事業の一部を売却することで戦略資金を手当てするという意思決定がなされました。SDGsも最後の10年で実績を積み重ねる段階へと移行しようとする中で、B社は確実に勝ち組への階段を上っていると言えるでしょう。
 逆にトップが「環境はCSR部に任せておけばよい」という態度に終始すると、いつまでたっても社内の士気は上がらず、CSR部以外の社員が環境問題に関心を持たない状態が続くことになります。スーツの胸に虹の輪をつけていても、実際は成長機会を逃し続けていることにトップが気づかないようではバスに乗り遅れるべくして乗り遅れている、と言われても仕方ないのではないでしょうか。

3. 投資家が注目するポイントと環境戦略
 フードロス対策や有機農業に欠かせない生ごみ処理を行うC社は、最近になって大手通信会社との資本提携による事業の拡大に成功しました。すでに確固たるビジネスモデルがあって、確実な投資収益性が見込める状況にあったことに加え、通信会社にとっては自らの顧客であるホテルやレストラン、スーパーマーケットなどに対するフードロス対策の提供をも行うことで、環境・社会・企業統治(ESG)への積極的な対応を取る会社であるとの評価を得ることができます。これは昨年くらいから注目されているESG投資の考え方に沿った経営判断によるものです。これまでの商圏を一気に拡大できるだけの資金を得て、C社の業績も急成長の軌道に乗りつつあります。
 もしも御社のビジネスに、大手企業が顧客に対するサービスとして採用できそうなものがあるとするならば、同じような視点で資本提携に結び付けられるチャンスが巡ってきているのです。これをモノにするためは、証券会社やアナリストに対して納得的な説明ができなくてはなりません。しっかりした環境戦略を構築できていることが何より重要な条件になるのです。

 2020年、世の中はオリンピックに沸いていますが、ビジネスの世界では新たな成長機会として環境戦略がモノを言う年になるのです。もしまだ経営者として確固たる意思決定ができずにいるとするならば、もしかするとそれは大きなチャンスを逃す前触れかもしれません。チャンスの女神には後ろ髪がない、とはよく言われる話です。迷う話ではありません。次は御社の番なのです。

2020.01.07

メルカリと環境とビジネスチャンス

 皆さま、明けましておめでとうございます。2020年も本コラムをどうぞよろしくお願いします。21世紀もいよいよ20年目、その1/5を終える年になりました。先日のCOP25でも見られたように世界の環境ビジネスにとって、これまでの10年は物事の方向性を決め、その実現へ向けたルール作りを進めてきた時代だったと思います。

ルールの細部については残念ながら若干積み残された部分はありますが、大まかに言って次の10年は実績を(しかもなるべく早く)積み上げることが期待される時期になるはずです。

ビジネス的には、SDGsやサーキュラーエコノミーなど、これまで言われてきた新しい考え方を先取りして大きく伸びる会社がある反面で、石炭やプラスチックを巡る既存の枠組みに絡めとられて勢いを失う会社も出てくると思います。中には会社の存続すらおぼつかなくなる事例も出てくるかもしれません。

そういった変化を先取りするイメージの話になりますが、今最も勢いのある環境ビジネスは「メルカリ」であると説明すると、驚かれる向きがあるかもしれません。でも同社のウェブサイトには、しっかりとサスティナビリティに関する情報が開示されています。ただ、そんな部分があってもなくても、メルカリのビジネスモデルは先発の競合他社に比べて成約率や買取り価格の高さで確実に勝っており、市場シェア的には明らかに勝ち組なのです。

逆に言うと、今の時代はたとえ環境面で強く意識する理念があったとしても、メルカリのようにまずはビジネス面の成功を志向するという順序付けがなされるべきである、というふうにも読めるのだろうと思います。もう少し社会の風向きが変わってくるまでは、成功の前に環境を語るとそこで不要なレッテル貼りをされてしまわないとも限りません。やはりあくまで消費者にはメリットで選んでもらい、そのサービスが実は環境にも良かったという流れが理想なのだろうと思います。

まずは正当にビジネスの価値で評価を受け、しかる後に環境面でも万全の対応が取れている、と言い切れるような準備をしてビジネスを始めること。今後はその変化がさらに加速されると思いますが、2020年にスタートする新しいビジネスのオーナーには、さしあたりここまでの準備をして臨むことこそが成功のカギであると申し上げます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2019.12.24

最初から決めておくメリット エコデザイン

 循環経済を巡る重要なコンセプトの一つに「エコデザイン」という考え方があります。製品のデザイン段階から、廃棄するときのことを考えておこうという取り組みです。解体時に部品を外しやすくしておく、リサイクルしやすい素材を使う、完全廃棄される部分を極力少なくする、等々の工夫があります。

 他方で消費財はどうしても消費者の注意を惹くような奇抜さや洗練されたデザインを目指してしまいがちです。結果として解体しにくかったり、廃棄される比率の高い製品になることも珍しくありません。そのような矛盾を解決するにはどうすれば良いのでしょうか?

 一つのアイディアは、製品設計段階から廃棄に関する意見を取り入れるというやり方で、設計時の打ち合わせに廃棄物処理を担当する人たちに入ってもらうというような取り組みが挙げられます。最近特に「動静脈連携」などという言われ方をしているようですが、もしもこの取り組みが上手く行くなら、さほどの苦労なくエコデザインは広まってゆくことでしょう。

 ところが残念ながら世の中はそこまでカンタンにはできておりませんで、特にメーカー側から「総論消極的賛成、各論絶対反対」みたいな反応が出ることも珍しくありません。考えてみればそれはその通りで、「消費者ニーズに応えることでこそ売上が上がる」という考え方を長いこと拠り所としてきたスタンスは、一朝一夕では変わりません。

 そこで一つの提案として、動静脈連携の輪に消費者代表にも入ってもらうという対応を取ることを検討いただきたいのです。いわば動静脈消費者連携、みたいな設計への取り組みで、製品ライフサイクルに関与する人たちのすべてに参加してもらうことによってより使いやすく循環経済に優しい製品にするための知恵が生まれやすくなると考えられるからです。

 廃棄物となった製品の先行きについては、修理による再利用、部品活用によるリビルド、解体とリサイクルなどがあります。それぞれどのような運命をたどるのか、そしてトータルで最終廃棄率をどこまで減らせるのか、すべての関係者を交えた中でオープンな議論ができることによって循環経済に資するデザインが生まれてくることにつながるのです。

 時代は今、まさに循環経済志向を強めつつあります。もし御社が今取り組まないとするなら、いつ取り組むのですか?

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