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コラム

2019.01.15

意思決定の重さ

好むと好まざるに関わらず、コンサルタントをしているとクライアント企業トップによる重要な意思決定の場面に立ち会うことがあります。その場面に至る経緯を分かっていればこそ、経営者として感じるプレッシャーを私も肌に感じるのですが、なかなか言葉にするのが難しい辛さがあります。

特に中小企業の場合、意思決定者が事案の全てを承知している分だけスピード感を持った意思決定ができるのは良いのですが、リスクも責任もすべてが経営者の肩にかかるので、場合によっては大変なプレッシャーと戦わなくてはいけないことがあったりします。

そう言ってばかりいると、進めなくてはいけない仕事が進みませんから、嫌でも何でも意思決定はしなくてはいけないわけです。

その意味で、大企業のサラリーマン社会というのは上手くできていて、伺いを上げる方と決裁する側とでプレッシャーを分け合えるようになっているんですね。

現場にいて、本社に伺いを上げる側は「これは本当に大事な案件で、俺はぜひこうなれば良いと思っているんだけど、上司の決裁事項だから伺いを上げざるを得ない。」と割り切ることができ、本社にいて伺いを回された方は「これは現場が大事だといっている案件だ。現場のことを考えるとぜひ聞いてやりたいが、全体観を持って見直すと違う選択肢があるかもしれない」などの理由で一旦話を落ち着かせることができるようになっているわけです。

というわけで、大企業のシステムでは意思決定までにかかる時間が多少長くなる傾向があるわけですが、その分だけリスクに対する耐性が担保されている・・というのが伝統的な説明だったと思います。

実際はどうかというと、特に海外の企業とやり取りする場合、スピード感覚は重要な要素になってきています。取締役会などにかかる場合はいざ知らず、日常の意思決定が事案の帰趨を左右する場合も珍しくありません。

プレッシャーを肌身に感じながら、毎日の意思決定をひとつずつこなしてゆく。経営者というのは考えてみれば大変な仕事ですが、コンサルタントは持てる知見や経験に基づいて、そのプロセスをサポートする重要な役割を担っているわけです。

いかにしてプレッシャーを克服しながら経営者として正しい意思決定を下せるか、コンサルタントとしては、そのための仕組みづくりを提案しているわけですが、その根底にあるのは情報処理のためのネットワークづくりや人脈形成に関する経験値、そして最終的には「ものの見方」だったりします。

コンサルタントの側から一つ言えることがあるとすれば、コンサルタントの知恵を生かすことで、間違いなく商機は広がります。その分、厳しい意思決定の場面も増えることになりますが、その商機を生かすも殺すも結局は意思決定次第です。意思あるところに道は拓ける、というコトバが示す通り、経営判断こそがものごとを動かす起点になるのです。

大変な思いをされている経営者の皆さん、私はコンサルタントとして最後までお付き合いいたしますので、どうか頑張って意思決定の大役を果たしていただきたいと思います。

2018.11.17

SDGsについて思うこと

 最近、各種の勉強会や展示会でよくSDGsの虹色マークを見かけるようになりました。外務省のウェブサイトによると、これは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標だということなのですが、最近は大企業、特に多国籍企業の間で、あたかも一種の流行もののようによく使われている気がします。

 その中身はと言えば、国際的に社会開発や環境保全を考える上で重要な17の視点と、2030年までの到達目標が掲げられたものなのですが、日本の文脈に引き直して考えると、これまでは2020年の東京オリンピックをひとつのゴールとして頑張ってきたその先がどうにも見えない中で、その空隙を埋めるちょうど手ごろな長期目標として捉えられたのではないかと見ています。

 考えてみれば至極当然の話なのかもしれませんが、地球環境など具体的な課題に関する目標が多元的に盛り込まれていることも、技術をソリューションとして売りたい大企業の間尺に合うものだったのではないでしょうか。

 その反面で、いわゆる静脈産業などの伝統的な環境産業についてみてみると、まだまだ理解は十分とは言えません。自社のカタログやウェブサイトにSDGsに関する標記を載せているところは、まだ決して多いとは言えない状況です。これは業種的に中小企業が多いこと、国内を主な市場としている企業が圧倒的多数にのぼることなどがその背景ではないかと思うのですが、同時に本来的なSDGsの精神である「誰一人として取り残さない」を想起するに、ぜひ埋めたい隙間であろうと思われます。

 オリンピックの終了を待たずとも、むしろ世界平和を祈るオリンピックと重ね合わせるイメージで、SDGsが社会により深く浸透して行くと、持続可能な社会の建設について世界との共通言語を持てるようになるのではないかと考えています。2019年は、SDGsの普及に貢献できるような仕事をしてみたいものですが。

2018.10.11

気候変動がもたらすもの

メディアが伝えるところによると、10月8日に発表された国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の気候変動政府間パネル(IPCC)第48回会合の報告書では、産業革命前に比べると地球の平均気温は明らかに上昇する基調にあり、2040年ごろには約摂氏1.5度上昇することが予想されているのだそうです。

産業革命前に比べて1.5度の平均気温上昇というと、パリ協定が努力目標として掲げた数字です。報告書の数字は2040年にその天井まで到達してしまうという、なかなかに厳しい予測であることがわかります。それが意味することとは、具体的にどんなことなのでしょうか?

パリ協定でもそうですが、二酸化炭素など温暖化ガスの排出削減がその対策としてクローズアップされています。国際的な協調による将来の努力、という難題への対応ですから、メディアの報道もこの部分に焦点が当たるのは当然だと思います。

他方で、条約の締結国会合(日本の報道においてはいわゆるCOPいくつ、というやつで、最新の会合は2017年にドイツのボンで開催されたCOP23です)などで議論される対策には、温暖化ガスの排出削減など、気候変動の「緩和」策と並んで、起きてしまった気候変動への「適応」についてもしっかりと議論されます。

日本では最初に「緩和」策がCO2削減とほぼ同値のような解釈がされてしまったことに比べると、「適応」策については中身がやや込み入っていることもあってか、あまり詳しく理解されていないところがあるように思います。

適応策が求められるのは、気候変動がもたらすリスクすなわち①社会資本などの脆弱性、②気候変動の影響への曝露、③災害などのハザードの3つが絡み合って発生するものということで、魚が取れる時期が変わるだとか、夏の酷暑が続くだとか、台風が大型化するとかいうような、さまざまな現象が含まれます。

ご存知のように、日本では近年になって毎年のように、7月~9月にかけて大雨や台風など、災害による深刻な被害が続いています。端的にこれを言い表すと、今日本に建っている家や、整備されている都市インフラでは、想定しうるハザードに対する脆弱性が高い状態にある、と言うことだと思います。

これに対する適応策を考えるならば、それは脆弱性の排除すなわち国土の強靭化、ということになるのでしょうが、絶対的な条件として言えることは、確実にカネのかかる話だということですね。

たとえば今後計画されるマンションには、飛んできた異物で窓が壊れないように、シャッターの雨戸が多く採用されるかもしれません。また、庭付きの物件すなわち1階部分の住戸はなくなり、ある程度床上浸水しても大丈夫な設計になるのではないでしょうか。道路舗装なども、泥掻きしやすい表面に変更されるだとか、道路の側溝や排水管の規格が見直されてより多くの排水が流れるように基準が変わって行く可能性もあると思います。

でも、今建っている家や、今川にかかっている橋や堤防などはどうなるのでしょう?積みやすく流れにくい土のう、浸水しても洗って乾かせば使える畳、あるいは橋がこわれないように流木を破壊する装置などの研究も進められなければならない、ということになるのでしょうか。なんだかせつない話ではありますが、2040年を見据えるならば、待ったなしの取り組みということになるのでしょうね。

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